原著
胃癌患者の腫瘍の進行度と補体(C3およびC4)の関連について
大塩 学而, 真辺 忠夫, 野中 敦, 土谷 利晴*, 藤堂 徹一郎*, 戸部 隆吉
京都大学医学部第1外科, 医仁会武田病院*
胃癌患者60例において血漿補体値(C3およびC4)を一元免疫拡散法で測定した.胃癌患者ではC3値(94±30 mg/dl),C4値(41±21 mg/dl)ともに健常人(C3:86±26 mg/dl,C4:35±11 mg/dl)に比べ軽度の上昇を認めた.C3値はstage III,IVと癌の進行に伴って上昇した.また,肝転移(124±37 mg/dl)および腹膜播種(107±37 mg/dl)を認める群において,有意の上昇を認めた.C4値も同様の傾向を示したが,C3値に比べ,相関の程度は低かった.リンパ節転移の有無および組織型はC3,C4値に大きな影響をあたえなかった.胃癌患者においては補体値,特にC3値が腫瘍の進行度と関連しており,今後の臨床応用が期待される.
索引用語
胃癌リンパ節転移, 胃癌肝転移, 胃癌腹膜播種, 補体(C3), 補体(C4)
日消外会誌 20: 2718-2721, 1987
別刷請求先
真辺 忠夫 〒606 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学部第1外科
受理年月日
1987年7月8日
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