原著
大腸憩室症手術症例の検討
長谷 和生, 望月 英隆, 山本 哲久, 加賀田 豊, 玉熊 正悦
防衛医科大学校第1外科
防医大1外開設以来8年半に行った注腸造影1,053例中140例(13.3%)に大腸憩室を認めた.大腸の部位では右側型58.6%,左側型30.0%,両側型11.4%と,本邦での従来の報告に比べ左側型が多く,しかもその左側型では加齢とともに発見頻度が増加する傾向を認めた.このうち22例(15.7%)に手術を行ったが,手術適応となった憩室合併症では反復する憩室炎と穿孔が最も多く,次いで膿瘍形成,狭窄,下血であった.穿孔例6例中5例に対して1期的に腸切除・吻合術を行い,術後経過は順調であった.右側型の膿瘍形成例には主として腸切除を行い良好な結果を得たが,選択すべき術式については誘導術のみの術式とのさらなる比較検討が今後必要である.
索引用語
大腸憩室症, 大腸憩室合併症, 大腸憩室症の手術適応
日消外会誌 20: 2735-2740, 1987
別刷請求先
長谷 和生 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1987年6月8日
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