原著
消化管悪性リンパ腫の臨床病理と予後因子に関する検討
高橋 日出雄, 穴沢 貞夫, 東郷 実元, 石田 秀世, 片山 隆市, 桜井 健司, 石原 歳久1)
東京慈恵会医科大学第1外科学教室, 社会保険大宮総合病院外科1)
消化管原発悪性リンパ腫24例を臨床病理学的に検討し,予後因子についても分析した.平均年齢は43.8歳で,男性に3倍多かった.回盲部が全体の60%を占めた.腸重積17%穿孔11%で急性腹症で来院する症例が多く目立った.Naqviの進行度分類では,I度1例,II度8例,III度10例,IV度5例と進行した症例が多かった.累積生存率による予後は術後5年生存率がわずか7%であった.非治癒切除例は2年以内にすべて死亡しているのに対し,治癒切除例の5生率は32%であった.予後の向上には早期症例の発見に努め,根治的広範囲切除が重要と考えられた.消化管の発生部位,進行度分類,治癒・非治癒切除などの因子が重要であった.
索引用語
悪性リンパ腫, 消化管悪性リンパ腫, 消化管悪性リンパ腫予後因子
日消外会誌 20: 2741-2745, 1987
別刷請求先
高橋日出雄 〒140 品川区東品川3-21-18-505
受理年月日
1987年7月8日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|