原著
空置幽門粘膜残存による吻合部潰瘍の病態生理に関する検討
佐藤 浩一, 渡部 洋三, 津村 秀憲, 巾 尊宣, 能美 明夫, 佐々木 浩, 大久保 剛, 矢吹 清隆, 森本 俊雄, 石井 康裕, 百瀬 隆二, 矢ケ崎 喜三郎, 織畑 道宏, 岡原 由明, 小野 精一, 榊原 宣
順天堂大学第1外科
教室で経験した胃切除後吻合部潰瘍26例を幽門粘膜空置群5例,幽門腺(+)群5例および幽門腺(-)群16例に分けて検討した.幽門粘膜空置群の原疾患は全例十二指腸潰瘍であり,そのBAO,BAO/MAO比,basal gastrin値およびI-IGRは他の2群と比較して高値を示し,BAO/MAO比では,他の2群との間に,basal gastrin値では,幽門腺(-)群との間に有意差(p<0.05)が認められた.以上のことより,吻合部潰瘍症例において,原疾患が十二指腸潰瘍で,かつBillroth II法吻合による胃切除術後で,BAO,BAO/MAO比,basal gastrin値およびI-IGRが高値を示す症例は幽門粘膜空置による吻合部潰瘍を強く疑う必要があると考えられた.
索引用語
胃切除後吻合部潰瘍, 幽門粘膜空置群, basal gastrin, integrated gastrin response
別刷請求先
佐藤 浩一 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1987年9月9日
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