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第21巻 第1号 1988年1月 [目次] [全文 ( PDF 467KB)]
原著

肝細胞癌と他臓器癌の重複症例(同時性および異時性)の検討

三好 康雄, 佐々木 洋, 今岡 真義, 柴田 高, 石川 治, 大東 弘明, 岩永 剛

大阪府立成人病センター外科

 肝細胞癌切除148例のうち,12例(8.1%)は同時性,異時性に他臓器癌を有する重複癌であった.これらの症例を検討し,以下の結果を得た.重複癌例は肝細胞癌単独のものに比べ高齢者であり,男性に多かった.他臓器癌としては同時性,異時性ともに胃癌との組合せが最も多く,同時性胃癌との重複はIIcの胃癌が4例中3例を占めた.重複癌死亡例の死因は,全例が肝細胞癌の再発および肝硬変に起因する肝不全,感染症,消化管出血であった.以上より,重複癌では肝細胞癌の治療を第一にすべきで,異時性重複癌でも輸血の既往や慢性肝疾患を有する例は,長期に慎重な経過観察を行い,肝細胞癌の早期発見に努めなければならない.

索引用語
重複癌, 肝細胞癌, 輸血後肝炎

日消外会誌 21: 55-59, 1988

別刷請求先
三好 康雄 〒537 大阪市東成区中道1-3-3 大阪府立成人病センター外科

受理年月日
1987年10月14日

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