原著
大腸癌患者における血中carcinoembryonic antigen・immunosuppressive acidic protein測定の臨床的意義―病理学的所見,生存率ならびに免疫能からの検討―
出口 浩之, 加藤 道男, 堀田 芳樹, 橋本 芳正, 斎藤 洋一
神戸大学医学部第1外科
大腸癌患者におけるCEA・IAPの陽性率と臨床病理所見との関連,CEA・IAP値と予後との関連,IAPの免疫能パラメーターとしての意義を検討した.CEAは57.3%(73/127)IAPは52.0%(66/127)が陽性でいずれかが陽性のものは78.7%(100/127)であり,他の消化器癌に比べても,高い値であった.CEAは腫瘍径,進行度,H,n,ly,v因子に,IAPは腫瘍径,H因子に陽性率との間に有意な関連を認めた.CEA:5 ng/mlを超える症例はそれ以下の症例に対し,術後512日以降の生存率が有意に低下していた.
IAPはB細胞(%)と負の相関関係を認めた.
CEA・IAP両者の測定は,癌の存在診断と生特学的悪性度の指標として,また生体の病態把握の面からも臨床的に意義深いと考えた.
索引用語
大腸癌, 腫瘍マーカー, 大腸癌の病理所見, 大腸癌の術後累積生存率, 大腸癌患者の免疫反応
別刷請求先
出口 浩之 〒652 神戸市兵庫区和田宮通6-1-34 三菱神戸病院外科
受理年月日
1987年9月9日
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