原著
4型胃癌の臨床病理学的ならびに免疫組織化学的研究
大山 正, 多淵 芳樹, 斎藤 洋一
神戸大学医学部第1外科
4型胃癌を巨大皺壁型48例と萎縮びらん型54例に分類し,臨床病理学的・免疫組織化学的に検討した.(1)非治癒因子は,巨大皺壁型では粘膜下層以下の深部浸潤が広範で断端癌陽性が24%,萎縮びらん型ではn3-4(+)が高率でn>Rが39%と多かった.手術に際しては巨大雛壁型では切除断端に癌遺残がないよう広範囲切除を,萎縮びらん型ではn≦Rをめざしてリンパ節郭清を徹底する必要があると考えられる.(2)巨大皺壁型は萎縮びらん型に比べ若年の女性に好発し,E2・SP1・HCGの複合染色陽性率が前者36%と後者の16%より高率であり,前者の内分泌療法の可能性が示凌される.(3)MF(MF')による化学療法群の5年生存率16.8%は非化学療法群の5.0%より良好で術中・術後の早期補助化学療法を行うことによって治療成績は向上するものと考えられる.
索引用語
4型胃癌亜型分類, 内因性estrogen, pregnancy specific β1 glycoprotein, human chorionic gonadotropin, carcinoembryonic antigen
別刷請求先
大山 正 〒658 神戸市東灘区本山北町6丁目2-5
受理年月日
1987年10月14日
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