原著
胃癌の粘膜面からみた広がりと壁深達度の関係―とくに上部胃癌の特徴について―
池口 正英, 太田 道雄, 角 賢一, 村田 裕彦, 水澤 清昭, 菅澤 章, 牧野 正人, 木村 修, 西土井 英昭, 貝原 信明, 古賀 成昌
鳥取大学第1外科
下部胃癌123例,中部胃癌101例,上部胃癌50例につき粘膜面からみた肉眼的癌巣の広がり(肉眼的癌巣面積)と組織学的にみた癌巣の広がり(組織学的癌巣面積)を比較し,壁深達度との関係を検討した.肉眼的癌巣面積と組織学的癌巣面積はよく相関しており,組織学的癌巣面積が16 cm2以下の場合,進行癌の占める割合は下部胃癌15/102(14.7%),中部胃癌19/73(26.0%),上部胃癌18/33(54.5%)と上部胃癌で有意に高く,同じ大きさの胃癌であっても胃上部の癌はより進行した癌が多かった.さらに,全摘胃を用いて粘膜筋板の厚さを胃の各部位ごとに測定したところ,胃上部ほど粘膜筋板は薄く,粘膜筋板が癌の壁深達に何らかの関わりをもっている可能性が示唆された.
索引用語
胃癌壁深達度, 癌占居部位, 胃粘膜筋板
別刷請求先
池口 正英 〒683 米子市西町36-1 鳥取大学医学部第1外科
受理年月日
1987年11月18日
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