原著
肝加温法の基礎的検討―選択的腹腔内分離温水灌流法に関して―
針原 康, 國土 典宏, 皆川 正己, 柴崎 正幸, 坂本 裕彦, 小山 広人, 大橋 一雅, 川崎 誠治, 三條 健昌, 出月 康夫
東京大学第2外科
肝腫瘍に対する領域加温法として,選択的腹腔内分離温水灌流法(開腹下に肝を腹腔内諸臓器と可及的に分離し,肝周囲を温水にて,また肝周囲以外の腹腔内を室温水にて灌流する加温法)に関して,雑種成犬9頭の肝臓を用いて基礎的な検討を行った.選択的腹腔内分離温水灌流法では全腹腔内を温水で灌流する方法と比較すると,全身体温の上昇は加温後45分,75分,90分で有意に少なく(p<0.05),加温後30分の肝臓温は有意に低く(p<0.01),加温90分後のpHの変動は有意に少なかった(p<0.05).選択的腹腔内分離温水灌流法は全身体温の上昇を最小限に抑えて,肝を比較的選択的に加温できることが明らかとなった.
索引用語
選択的腹腔内分離温水灌流法, 肝加温法, 肝腫瘍
別刷請求先
針原 康 〒113 文京区本郷7-3-1 東京大学医学部第2外科
受理年月日
1987年11月18日
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