原著
リピオドール併用肝動脈塞栓術の非癌部肝機能に及ぼす影響―肝エネルギー代謝面を中心として―
吉川 高志, 深井 泰俊, 畑 芳樹, 堀田 敦夫, 桜井 隆久, 堀川 巳清, 松本 宗明, 福岡 敏幸, 吉田 英晃, 白鳥 常男, 大石 元1), 打田 日出夫1)
奈良県立医科大学第1外科, 同 放射線科1)
リピオドール併用肝動脈塞栓術(以下Lp-TAE)が非腫瘍部のエネルギー代謝に及ぼす影響を検討するために,Lp-TAEを施行した13症例を対象として,肝硬変(以下LC)の有無により2群に分け検討した.一般肝機能は,LC(-),LC(+)群ともにLp-TAE後4週以内に前値に回復した.ICGR15,ICGK値は,LC(-),LC(+)群ともにLp-TAE後有意の変動を示さなかった.Lipid emulsion testからみたphagocytic indexは,LC(-),LC(+)群ともにLp-TAE後高値を示すが,2週目には前値に復しその後漸減して4週目でも低値を示す傾向にあった.動脈血中ケトン体比は,LC(-)群では,Lp-TAE後一過性の低下を示すが4週目には前値に復しているのに対し,LC(+)群では4週目でも有意の低値を示し,肝エネルギー代謝面での影響の残存が示唆された.
索引用語
リピオドール併用肝動脈塞栓術, 肝動脈塞栓術後肝機能, 動脈血中ケトン体比, 肝エネルギー代謝, 肝切除
別刷請求先
吉川 高志 〒633 桜井市大字金屋136 大三輪病院外科
受理年月日
1987年11月18日
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