原著
大腸癌肝転移に対する肝切除症例の検討―特に根治的肝切除後の再発と肝所属リンパ節転移について―
うね村 泰樹, 小林 進, 宮本 栄, 蜂谷 公敏, 稲田 省三, 尹 太明, 片山 隆市, 石田 秀世, 穴沢 貞夫, 桜井 健司
東京慈恵会医科大学第1外科
大腸癌肝転移切除症例18例の再発様式について検討した.根治的肝切除後の再発様式は残存肝再発57%,肺転移29%,原発巣局所再発14%であった.原発巣が左側結腸症例,および肝転移の進展度がH2症例では残存肝における再発が多かった.肝転移巣の発見時期が同時性と異時性の症例とでは,同時性に対する肝切除後の再発率が高かった.肝切除後残存肝再発は半年以内に出現するものが多かった.18症例中術中に肝所属リンパ節転移を16.7%と高頻度に認め,肝切除時にリンパ節郭清(特に肝門部および肝十二指腸間膜リンパ節)を施行する必要性が示唆された.肝所属リンパ節転移をきたした症例の原発巣はn,v,lyの各因子の進行したものが多かった.
索引用語
転移性肝癌, 大腸癌肝転移, 肝切除, 残存肝再発, 転移性肝癌リンパ節転移率
別刷請求先
うね村 泰樹 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学第1外科
受理年月日
1987年11月18日
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