原著
DNA ploidy patternよりみた大腸癌肝転移の悪性度の検討
山口 明夫, 鎌田 徹, 石田 哲也, 熊木 健雄, 西村 元一, 加藤 真史, 関野 秀継, 小坂 健夫, 米村 豊, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
大腸癌肝転移例を対象として,その原発巣および肝転移巣の核DNA量の測定を行い,予後の面より悪性度の検討を行った.肝転移巣の細胞核DNA ploidy patternは原発巣に比べ,よりhigh ploidyを呈する傾向にあった.DNA III型を有する症例では,I,II型に比べてその転移個数が多く,転移程度も高かった.相対非治癒切除16例の再発率はI,II型の50%,45%に対して,III型では80%と高い傾向がみられた.またI,II型の平均生存期間は28カ月,33カ月で,内5例に3年以上の長期生存が得られ,比較的良好であったが,III型では10.7カ月と短く,すべて2年以内に死亡した.以上より肝転移巣核DNA patternは大腸癌肝転移の予後を反映すると考えられた.
索引用語
大腸癌肝転移, 核DNA量
別刷請求先
山口 明夫 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1987年10月14日
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