原著
胃癌手術と胆嚢病変―胆嚢収縮能の検討―
高橋 徳, 山村 武平, 石川 羊男, 宇都宮 譲二
兵庫医科大学第2外科
過去10年間の当教室での術後急性胆嚢炎症例は8例で,うち7例が胃癌手術後にみられた.全例が無石胆嚢炎であり,胆嚢壁の壊死や穿孔が8例中5例にみられた.そこで胃手術患者を対象に術後定期的に超音波検査を行い,胆嚢病変の有無を観察するとともに,本症発症の機序を収縮運動の面から検討した.胃癌手術1カ月以内では胆嚢収縮能は著明に低下しており,胆嚢の腫大やdebrisの貯留などの所見が高率にみられ「胆嚢炎準備状態」と考えられた.しかし,術後3~6カ月経過すると収縮能は術前とほぼ同程度にまで回復し,胆嚢腫大やdebrisの貯留などの所見も著明に改善されていた.Naloxoneは胃癌手術1カ月後の収縮不全を有意に改善させ,治療効果が期待される.
索引用語
術後急性胆嚢炎, 胃切除後胆石症
別刷請求先
高橋 徳 〒663 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第2外科
受理年月日
1987年11月18日
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