原著
胸部食道癌の遠隔成績に対する上縦隔郭清の効果
藤田 秀春, 野手 雅幸, 中川原 儀三, 能登 啓文1), 草島 義徳1), 大戸 司1), 片山 寛次1), 田中 茂弘1), 嶋 裕一1), 桐山 正人1), 西村 元一1), 橋本 哲夫1), 北林 一男1), 宮崎 逸夫1)
福井医科大学第1外科, 金沢大学第2外科1)
胸部食道癌に対する上縦隔リンパ節郭清の効果について,主として遠隔成績の面から検討した.対象は74例の胸部食道癌症例で,これらには上縦隔の系統的郭清が行われているが,頸部郭清は術前,術中に転移の疑われたものとIu症例に限った.リンパ節転移率は66%で,st IIIは22%,st IVは59%であった.胸腔内でもっとも転移の多かったのは108,106,107などの上から中縦隔にかけてで,腹腔内では7,3,2の噴門から小弯のリンパ節であった.COを除いた累積5年生存率(Kaplan-Meier法)は全体で54%,n(-)で64%,n(+)で42%であった.再発形式は44%が遠隔臓器転移であり,上縦隔郭清は胸部食道癌の遠隔成績向上に有効と考えられたが,適切な合併療法の開発が重要と思われた.
索引用語
食道癌, 上縦隔リンパ節郭清, 食道癌遠隔成績
別刷請求先
藤田 秀春 〒910-11 福井県吉田郡松岡町下合月23 福井医科大学第1外科
受理年月日
1987年12月9日
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