原著
選択的近位迷走神経切離術兼幽門洞粘膜切除術に関する実験的研究
佐藤 浩一
順天堂大学第1外科学教室(主任:榊原 宣教授)
十二指腸潰瘍に対する選択的近位迷走神経切離術兼幽門洞粘膜切除術(SPV+MA)の有用性を胃内外分泌機能,barium(+固形食),acetaminophen法による胃排出能,strain gauge force transducerを用いた胃十二指腸運動および術後後遺症の面より検討した.SPV+MA後では,histalogおよびinsulin刺激時の胃酸分泌量は77.0,100%,insulinおよび肉汁エキス刺激時の血清gastrin反応も90.5,93.0%と著明な減少率を示した.SPV+EMA後の胃排出能は良好に保たれ,胃十二指腸運動はSPV後に類似していた.食餌摂取量は術後4週間で術前とほぼ同量となり,体重の増加もみられた.以上のことより,SPV+MAは十二指腸潰瘍に対しては有用な手術術式となりうることが明らかにされた.
索引用語
選択的近位迷走神経切離術兼幽門洞粘膜切除術, 十二指腸潰瘍に対する手術術式, 胃内外分泌機能, 胃排出能, 胃十二指腸運動
日消外会誌 21: 1015-1025, 1988
別刷請求先
佐藤 浩一 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1987年12月9日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|