原著
高齢者胃全摘術後の予後およびquality of life
坂本 孝作, 中野 眼一, 武川 啓一, 鈴木 丹次, 長町 幸雄
群馬大学医学部第1外科学教室
高齢者胃癌患者に対する手術で,縮小手術に徹すべきか,拡大手術に努力を傾けるべきかを論ずる目的で,教室の70歳以上の高齢者で胃全摘治癒切除術後患者33名の予後,およびquality of life(QL),生活活動指数(PAI)を50歳未満の若年群48名と比較した.QLの判定は独自の規準に従い,PAI値は1日のエネルギー消費量予測値および基礎代謝量規準値に基づいて算出した.5年累積生存率は,高齢群で42.2%,若年群で52.2%である.QLの程度別分布は,高齢群でgood QLが多く,若年群でexcellent QLが多いが,PAIの平均値は,高齢群で0.62±0.2,若年群で0.56±0.18であり両群間で差がない.以上の結果から,高齢者の胃全摘術ではもっと積極的に拡大手術に努力を傾けるべきである.
索引用語
胃全摘後quality of life, 生活活動指数
日消外会誌 21: 1026-1029, 1988
別刷請求先
坂本 孝作 〒371 前橋市昭和町3-39-15 群馬大学医学部第1外科
受理年月日
1987年12月9日
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