原著
胃癌の肉眼的他臓器浸潤例の検討―とくに膵浸潤例に対する膵合併切除の適応と限界―
西土井 英昭, 木村 修, 池口 正英, 菅沢 章, 水沢 清昭, 村田 裕彦, 角 賢一, 太田 道雄, 清水 哲, 貝原 信明, 古賀 成昌
鳥取大学医学部第1外科
胃癌の肉眼的他臓器浸潤症例207例を分析した結果,浸潤臓器は膵臓が93例(44.9%)と最も多かった.そこで,組織学的膵浸潤胃癌45例について,術式別手術成績から膵合併切除の適応と限界を検討した.その結果,膵合併切除が行われて相対的非治癒切除までの手術が可能であれば(n=13),5生率は41.7%と比較的良好であった.しかし,絶対的非治癒切除に終った場合は,膵合併切除例(n=7)の生存率(1生率14.3%,2生率0%)より非合併切除例(n=25)の方が良好な成績であり(1生率40.9%,2生率9.1%),かかる場合は,適応を十分考慮した上でn3までの症例に対しては膵合併切除(PDを含む)を行ってもよいと考えられるが,n4症例には合併切除の適応はないものと考えられた.
索引用語
胃癌, 他臓器浸潤胃癌, 膵浸潤胃癌, 膵合併切除, 膵頭十二指腸切除
日消外会誌 21: 1037-1042, 1988
別刷請求先
西土井英昭 〒683 米子市西町36-1 鳥取大学医学部第1外科
受理年月日
1987年12月9日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|