原著
十二指腸潰瘍穿孔に対する迷走神経切離術の検討
中越 享, 三浦 敏夫, 中尾 治彦, 福田 豊, 清水 輝久, 平野 達雄, 下山 孝俊, 富田 正雄, 猪野 睦征1), 橋口 勝敏1)
長崎大学第1外科, 大村市立病院外科1)
十二指腸潰瘍穿孔に対する迷切術35例を対象に,術後愁訴を中心とする治療成績を広範囲胃切除術47例および迷切術式別に比較検討した.選近迷切±幽成と選迷切+幽切は比較的全身状態良好な症例に対して,幹迷切+幽成は不良例に対して行われた.術後合併症は広胃切と幹迷切+幽成のみに発生し,手術死亡は広胃切に1例みられた.広胃切はVisick scoreで良好であったが体重変化と食事量では不良であった.選近迷切±幽成と選迷切+幽切ではVisick score・体重変化・食事量のいずれも良好であったが,幹迷切+幽成はいずれの項目も不満足の結果であった.十二指腸潰瘍穿孔に対して迷切術とくに選近迷切は推奨できる術式であると考えられた.
索引用語
穿孔性十二指腸潰瘍, 迷走神経切離術, 選択的近位迷走神経切離術
日消外会誌 21: 1043-1049, 1988
別刷請求先
中越 享 〒852 長崎市坂本町7-1 長崎大学医学部第1外科
受理年月日
1987年12月9日
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