原著
抗癌剤門脈内反復投与による肝転移予防の実験的研究
岩崎 甫, 中込 博, 上野 明, 梅北 信孝1)
山梨医科大学第2外科, 都立墨東病院外科1)
抗癌剤の門脈内反復投与による肝転移予防効果についてVX2腫殖瘍とアドリアマイシンを用いて実験的に検討した.家兎の門脈にカテーテルを留置,VX2浮遊液(3~4×104個/ml)1 mlを注入.門注群(N=6)には当日から1週間0.8 mg/kgアドリアマイシンをカテーテルより投与,対照群(N=6)には同期間生食水を投与した.4週間後,門注群は全例生存し肝転移も2羽に散在性に認めたのみであったが,対照群では全例に多数の肝転移を認めた.平均肝重量は門注群107 g,対照群350 gであった.抗癌剤の門脈内反復投与法は明らかな肝転移抑制効果を示し,これを消化管癌術直後から開始することにより肝転移を予防できる可能性のあることが示唆された.
索引用語
抗癌剤門脈注入法, 肝転移, アドリアマイシン, VX2腫瘍
日消外会誌 21: 1050-1053, 1988
別刷請求先
岩崎 甫 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第2外科
受理年月日
1987年12月9日
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