原著
肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術併用肝切除例の病理学的検討と予後に及ぼす影響
鴻巣 寛, 弘中 武, 園山 輝久, 塚本 賢治, 野中 雅彦, 牧野 弘之, 岡 隆宏
京都府立医科大学第2外科
肝動脈塞栓術(TAE)の抗腫瘍効果を病理組織学的に検討し,TAEの予後に与える影響について再発率,生存率,術後合併症の面から臨床的検討を行った.主腫瘍に対してはゼラチンスポンジ(GS)を併用するTAE群で35例中29例(82.9%)に50%以上壊死がみられ,門脈内腫瘍栓,娘結節にはリピオドール併用群で有効例がみられた.再発率は術前TAE施行群で29.2%と非施行群の52.4%に比べ低率であったが,両者の累積生存率には有意差は認めなかった.肝予備能低下症例において,GSを使用するTAEは術後肝不全発症率が31.6%とTAE非施行群の8.7%に比べ高率であり,TAEの適応と方法を考慮すべきである.
索引用語
肝細胞癌, 肝動脈塞栓術併用肝切除
日消外会誌 21: 1054-1060, 1988
別刷請求先
鴻巣 寛 〒602 京都市上京区河原町通広小路上ル梶井町465京都府立医科大学第2外科
受理年月日
1987年12月9日
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