原著
大腸癌手術の術前腸管処置法の検討―EDとTPNとの比較検討―
山田 哲司, 花立 史香, 山村 浩然, 宗本 義則, 高畠 一郎, 佐々木 正寿, 村上 真也, 疋島 寛, 林 外史英, 北川 晋, 中川 正昭
石川県立中央病院外科
大腸癌手術263例における術後の創感染および縫合不全の発生率から,術前腸管処置としての成分栄養と完全静脈栄養の比較検討を行った.その結果成分栄養での前処置群62例における創感染の発生率は10%以上であり,従来の下剤,浣腸のみによる前処置群82例とにおける創感染の発生率に有意差を認めなかった.しかし,完全静脈栄養前処置群119例における創感染の発生率は5%以下であり有意な低下を認めた.縫合不全の発生率においては各群に有意差を認めなかった.以上より大腸癌手術前腸管処置としては完全静脈栄養がすぐれていると考えられた.
索引用語
大腸手術前腸管処置, 大腸癌, 成分栄養, 完全静脈栄養, 大腸癌術後創感染
日消外会誌 21: 1075-1080, 1988
別刷請求先
山田 哲司 〒920-01 金沢市南新保町7153 石川県立中央病院
受理年月日
1987年12月9日
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