原著
フローサイトメトリーによる大腸癌のDNAパターンと臨床病理学的所見,予後との関連について
小里 俊幸, 馬場 正三, 小沢 享史1)
浜松医科大学第2外科, 浜松医科大学病理学第1講座1)
1978年から1982年の5年間に教室で外科的切除を行い,予後の判明している大腸癌症例102例を対象として,切除材料のパラフィンブロックを用いて癌細胞核DNA量をフローサイトメトリーで測定した.DNAヒストグラムをパターンより解析し,diploid69例(68%),aneuploid 33例(32%)に分類した.臨床病理学的所見との関連では,リンパ節転移,肝転移でaneuploidの転移率が高かった(p<0.05).stage分類では進行した症例にaneuploidが多い傾向を認めた.5年生存率はoverall(D:74.6%,A:50.6%,p<0.05),治癒切除例(D:92.0%,A:73.4%)ともaneuploidで低かった.以上より,DNAヒストグラムでaneuploidを示す大腸癌の生物学的悪性度が示唆された.
索引用語
大腸癌細胞核DNA量, フローサイトメトリー, DNAパターン
日消外会誌 21: 1081-1085, 1988
別刷請求先
小里 俊幸 〒431-31 浜松市半田町3600 浜松医科大学第2外科
受理年月日
1987年12月9日
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