特集
遠隔成績からみた直腸癌治療の問題点と対策―とくに術後の局所再発について―
加藤 知行, 平井 孝, 坂本 純一, 安井 健三, 森本 剛史, 山村 義孝, 安江 満悟, 紀藤 毅, 加藤 王千, 宮石 成一, 中里 博昭
愛知県がんセンター消化器外科
単発大腸癌治癒切除1,429例の5年生存率は結腸癌84.1%,直腸癌72.8%だった.直腸癌の予後が不良な原因としては,局所再発率の高いことが挙げられる.局所再発の機序として癌発育先進部から切除断端迄の距離(ew)不足,リンパ節郭清不十分,implantationなどが考えられる.ewは組織標本上5 mm,摘出標本上1 cmが必要と考えているが,直腸前壁では合併切除をせずにそれだけの正常組織を切除することはできない.リンパ節転移に対しては,側方リンパ節郭清をおこなうことにより局所再発とリンパ節再発は19.7%から11.9%に減少した.局所再発例の治療は,再発腫瘍に隣接する臓器を合併切除したものの予後が良かった.
索引用語
大腸癌の遠隔成績, 直腸癌の局所再発
日消外会誌 21: 1171-1174, 1988
別刷請求先
加藤 知行 〒464 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
1987年10月12日
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