特集
肝細胞癌切除療法の遠隔成績と問題点
長尾 桓, 河野 信博, 長島 郁雄, 森岡 恭彦
東京大学第1外科
1963~1986年の東京大学第1外科における肝細胞癌切除例118例を対象として,その遠隔成績,長期予後決定因子,癌再発の問題について検討した.切除例の生存率は1年80.5%,3年45.2%,5年30.9%であった.長期予後は,肝硬変の併存など非癌部の病態よりむしろ腫瘍径,腫瘍数,被膜など癌そのものの病態により決定された.長期予後を悪くしている最大の原因は癌の再発であり,再発の予防,治療が今後の課題である.再発症例の検討結果からみれば,残存肝予備力の許す限り広範な肝切除を行うことが再発予防のために有効であると考えられた.
索引用語
肝細胞癌, 肝細胞癌の長期予後決定因子, 肝細胞癌術後再発
日消外会誌 21: 1175-1178, 1988
別刷請求先
長尾 桓 〒113 文京区本郷7-3-1 東京大学医学部第1外科
受理年月日
1987年10月22日
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