特集
遠隔成績からみた膵癌治療の問題点と対策
高橋 伸, 尾形 佳郎*, 森 光生, 前田 京助, 古内 孝幸, 白部 多可史, 阿部 令彦
慶応義塾大学外科, *栃木県立がんセンター外科
膵癌177例中104例を切除し(切除率58.8%),このうち58例(切除例の55.8%)に血管合併切除を施行した.内訳けは門脈のみ44例,門脈・下大静脈前壁2例,門脈・肝動脈11例,門脈・上腸間膜動脈1例であった.血管合併切除の導入により切除率の向上と,合併切除例に3年生存6例を得た.治療成績は治癒切除か非治癒切除かにより決定され,血管合併切除であっても治癒切除であれば予後が期待出来た.剖検例を中心とした再発例の検討から,遠隔成績向上には,肝転移,局所後腹膜再発への対処が必要で,肝転移に対しては経肝円索的門脈チュービングからの制癌剤投与を,局所後腹膜再発に対しては,徹底した郭清と術中照射を行う方針で,これらの効果について現在検討している.
索引用語
膵癌, 膵癌における血管合併切除, 膵癌の術中照射
日消外会誌 21: 1183-1186, 1988
別刷請求先
高橋 伸 〒160 新宿区信濃町35 慶応義塾大学医学部外科
受理年月日
1987年10月13日
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