特集
手術を受けた胃の発癌リスク
三輪 晃一, 宮田 龍和, 宮崎 逸夫, 服部 隆則1)
金沢大学第2外科, 福井医科大学第1病理1)
胃手術後の発癌リスクをWistar系雄性ラットで検索した.各種胃手術後にN-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine(MNNG)を投与したラットの50週後の発癌率は単開腹群を1.0とすると,胃底腺領域切除2.0,迷切1.9,迷切+幽門成形0.9,迷切+胃腸吻合0.6,幽門成形0.6,胃腸吻合0.6,幽門腺領域切除0.6で,胃癌好発部位を残存させた減酸手術で,胃内容欝帯をきたす手術に胃癌が高率に発生した.また,MNNGを20週間投与した後に減酸手術を行ったラットの50週後の発癌率は単開腹群1.0に対し,胃底腺領域切除3.4,迷切1.7で,減酸手術が胃癌の進展を促進した.また,十二指腸液胃内逆流手術を行ったラットに12カ月・20カ月後に吻合部に胃癌が発生した.
索引用語
残胃癌, N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine, 十二指腸液胃内逆流
日消外会誌 21: 1191-1194, 1988
別刷請求先
三輪 晃一 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1987年9月28日
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