特集
腹腔内冷却低体温法とその応用
平 明, 田中 紘輝, 上村 亮三, 熊谷 輝雄
鹿児島大学医学部第2外科
一般腹部手術時の重要臓器血流遮断を安全にかつ簡便に行うために腹腔内冷却低体温法を実験および臨床の両面で検討した.実験では雑種成犬を開腹後腹腔内にice slushをみたし肝,腎などを中心に温度変化,血流変化を観察した.食道温30℃までは肝,門脈系の血流分布率が変化しないことからこの域を安全域と考えた.実験的応用は腹部多臓器移植および肝同所性移植でおこない生存例を得て本法に問題がないことが判明した.臨床例では,腹部大血管手術,肝外傷,膵全剔門脈再建の計8例に使用し良好な成績が得られた.腹腔内冷却低体温法は簡便,安全で導入が早く応用の範囲は広いと考える.
索引用語
低体温, 腹腔内冷却, 臓器血流
日消外会誌 21: 1199-1202, 1988
別刷請求先
平 明 〒890 鹿児島市宇宿町1208-4 鹿児島大学医学部第2外科
受理年月日
1987年10月16日
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