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第21巻 第5号 1988年5月 [目次] [全文 ( PDF 727KB)]
原著

高齢者胃癌の外科治療における問題点

中根 恭司, 岡本 真司, 笠松 聡, 朴 常秀, 広実 伸郎, 今林 伸康, 日置 紘士郎, 山本 政勝

関西医科大学外科

 70歳以上を高齢者とし,70~74歳,75~79歳,80歳以上の3群に分け60~69歳胃癌と対比して術後合併症よりみた外科治療上の問題点について検討した.
 術後合併症としては縫合不全,肺合併症が多くみられたが各年齢間に差はなかった.術前機能検査成績と術後合併症との関係では各年齢群とも相関はみられなかった.術後合併症の発生に関与する因子として胃の切除範囲,手術時間,出血量が挙げられた.治癒切除例の遠隔成績は良好であった.以上のことから術後合併症の発生予防には手術時間3時間,出血量500 mlを一応の基準とすべきと思われるが,耐術性ありと判断し治癒切除が可能であれば,高齢者とはいえ積極的に根治性のある胃切除を行うべきであると考えられた.

索引用語
高齢者胃癌, 高齢者胃癌術後合併症, 高齢者胃癌外科治療

日消外会誌 21: 1236-1242, 1988

別刷請求先
中根 恭司 〒570 守口市文園町1 関西医科大学外科

受理年月日
1988年2月10日

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