原著
細小肝細胞癌切除例の検討
久保 正二, 酒井 克治, 木下 博明, 広橋 一裕, 街 保敏, 鄭 徳豪, 福嶋 康臣, 岩佐 隆太郎, 季 光春
大阪市立大学医学部第2外科
肝切除施行small liver cancer(細小肝癌)16例を検討した.細小肝癌は無症状や不定愁訴の場合が多く,その発見にはhigh risk groupの設定とα-fetoprotein値の測定や超音波検査の施行が重要である.腫瘍は全例結節型で,被膜および被膜外浸潤はそれぞれ4例にみられたが,脈管侵襲はみられなかった.再発例を検討すると部分切除例,被膜外浸潤例,TW(+)例であり,系統的肝区域切除術を行うべきである.肝癌の占拠部位や肝機能によっては非切除療法を行わざるをえないが,肝動脈塞栓術のみでは根治性は少なく,経皮経肝門脈枝塞栓術などの併用が望ましい.画像診断法の限界やその予後から,細小肝癌は肝癌の早期癌に相当すると考えられた.
索引用語
small liver cancer, 肝動脈塞栓術, 経皮経肝門脈枝塞栓術, 肝切除術, 早期肝細胞癌
日消外会誌 21: 1243-1247, 1988
別刷請求先
久保 正二 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第2外科
受理年月日
1988年1月13日
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