原著
腹部大量出血に対する緊急経カテーテル的動脈塞栓術の有用性について
金井 道夫, 近藤 成彦, 梛野 正人, 栗木 浩, 向山 博夫, 浅野 昌彦, 森 光平, 丹野 俊男, 二村 雄次*
大同病院外科, *名古屋大学第1外科
止血を目的として緊急経カテーテル的動脈塞栓術を施行した腹部大量出血例11例を対象として,その有用性をretrospectiveに検討した.
全例ただちに止血され,8例では,再出血を認めなかった(緊急止血率100%,著効率73%).複数の動脈に支配される領域からの出血例3例中2例に再出血を認めた.主幹動脈の破綻例4例のうち,主幹動脈そのものの血流を遮断した3例は再出血を認めなかった.死亡例5例の死因は,重篤な基礎疾患に起因したものであった.塞栓による合併症は認めなかった.
以上,緊急経カテーテル的動脈塞栓術は,従来緊急手術の適応であった腹部大量出血例に対しても有用かつ安全な止血法と思われた.
索引用語
経カテーテル的動脈塞栓術, 緊急血管造影, 消化管出血, 術後出血, 後腹膜出血
日消外会誌 21: 1301-1307, 1988
別刷請求先
金井 道夫 〒457 名古屋市南区白水町9 大同病院外科
受理年月日
1988年2月10日
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