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第21巻 第6号 1988年6月 [目次] [全文 ( PDF 574KB)]
原著

十二指腸液胃逆流の胃発癌促進作用

宮田 龍和

金沢大学医学部第2外科(主任:宮崎逸夫教授)

 Wistar系雄性ラットにN-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidineを50 mg/l濃度に溶解した飲料水を20週間投与し,以下の手術を行った.第1群は十二指腸液が肛門側より,第2群は口側より腺胃に逆流する手術,第3群は対照としての単開腹術である.50週後の胃癌発生率は第1群96%,第2群55%で,第1群は第3群の22%より高かった.多発胃癌頻度は第1群74%,第2群83%,第3群0%で,胃癌の大きさは,第1群6±7 mm,第2群4±3 mm,第3群11±7 mmで,十二指腸液胃逆流群では小胃癌が多発性に発生した.また第1群では逆流する十二指腸液が高濃度に触れる幽門輪近傍に胃癌が多く見られた.これらの成績は,十二指腸液胃逆流が胃発癌を促進することを示している.

索引用語
残胃癌, 十二指腸液胃逆流, Billroth 2法, 胃発癌, N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine

日消外会誌 21: 1357-1362, 1988

別刷請求先
宮田 龍和 〒930 富山市今泉292 富山市民病院外科

受理年月日
1988年3月9日

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