原著
膵癌進展様式の臨床病理学的ならびに実験的研究―とくに膵外神経叢内神経浸潤について―
萱原 正都
金沢大学医学部外科学第2講座(主任:宮崎逸夫教授)
膵頭部癌膵外神経叢内神経浸潤の解明を目的に,膵頭部癌切除例34例の臨床病理学的検討,ならびに家兎VX2癌を用いた実験的検討を行った.膵後方浸潤(rpe)は34例中29例(85%),膵外神経叢内神経浸潤はrpe 29例中21例(72%)であり,浸潤部位は膵頭神経叢第II部が14例(67%)と高率であった.膵外神経叢内神経浸潤は膵内神経浸潤の高度なものほど,またリンパ管浸潤の著しいものほど高度になる傾向がみられた.完全連続切片による神経叢内神経浸潤は連続性にみられ,家兎VX2癌による観察でも同様の所見であった.以上より,膵外神経叢内神経浸潤は主として連続性進展を呈し,さらに膵頭部癌外科治療の際には神経叢,脂肪組織を含めた膵後方組織をen blocに切除する術式が不可欠と結論した.
索引用語
膵部癌神経叢内浸潤, 膵癌神経浸潤, 膵癌神経内連続性進展, 癌組織完全連続切片, 家兎VX2癌
日消外会誌 21: 1363-1372, 1988
別刷請求先
萱原 正都 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1988年3月9日
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