原著
胸部食道癌術後の腎機能障害
北村 道彦, 西平 哲郎, 平山 克, 河内 三郎, 加納 正道, 赤石 隆, 標葉 隆三郎, 関根 義人, 実方 一典, 樋口 則男, 増田 真幸, 渡辺 泰章, 橋本 雄二, 横田 憲一, 佐藤 芳春, 森 昌造
東北大学医学部第2外科
過去10年間の胸部食道癌277例のうち術後の腎機能障害(血清クレアチニン2.0 mg/dl以上)は15例(5.4%)に発生した.15例中9例は第1病日に異常値を示した.70歳以上と未満(10.9:4.3%),高血圧の既往の有無(8.0%:3.7%)について発生率に約2倍の差がみられた.術前の腎機能では,血清クレアチニンが1.5 mg/dl以上と未満(35.7%:3.8%,p<0.01),PSP試験15分値が20%以上と未満(20.7%:3.0%,p<0.01),Fishberg尿濃度試験で500 mOsm/kg以上と未満(17.4%:4.0%,p<0.05)についてそれぞれ発生率に有意差がみられた.腎機能障害の原因となった合併症の治療が困難であった3例を除き,他の12例では保存的治療により腎機能障害は回復した.
索引用語
食道癌術後腎機能障害
日消外会誌 21: 1924-1929, 1988
別刷請求先
北村 道彦 〒980 仙台市里陵町1-1 東北大学医学部第2外科
受理年月日
1988年3月9日
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