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第21巻 第7号 1988年7月 [目次] [全文 ( PDF 719KB)]
原著

胃空腸吻合後の胃癌発生に関する実験的研究

小澤 正則, 三上 泰徳, 杉山 譲, 羽田 隆吉

市立函館病院外科, 弘前大学第2外科

 腺胃胃空腸吻合を施行したWistar系雄性ラット36匹を検討した.胃摘出標本の組織学的観察では50病変がみられ,うち31病変は小腸上皮型胃腺腫であった.腺癌は高度の炎症を随伴し12病変,10匹からなり発癌率は27.8%であった.また他部位の胃粘膜では粘膜高の平低化がみられ,胃液pHも上昇するなど萎縮性胃炎が起こっており,同時に胃内細菌叢は口腔細菌叢から腸内細菌叢へと変化がみられた.以上の結果から,胃腸吻合後の粘膜には,まず萎縮性胃炎が先行し,これを母地として腸上皮化生が現れ,これとともに腺腫の発生することが示唆された.さらに腺腫より異型腺管形成への変化 は炎症が促進的役割を果たすものと判断された.

索引用語
実験胃癌, 胃空腸吻合, 小腸上皮型胃腺腫, 萎縮性胃炎, 胃内細菌叢

日消外会誌 21: 1939-1945, 1988

別刷請求先
小澤 正則 〒040 函館市弥生町2-33 市立函館病院外科

受理年月日
1988年3月9日

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