原著
肝切除術後における新鮮凍結血漿の適正使用について―プロトロンビン時間による判定―
武田 成彰, 田代 秀人, 阿部 祐治, 岡本 好司, 加藤 秀典, 高木 輝, 大里 敬一
産業医科大学第1外科
肝切除術後のfresh frozen plasma(FFP)の適正な使用基準について肝細胞癌切除66例を2期にわけ検討した.前期29例にはFFPを制限を設けずに使用し,後期37例にはprothrombin time(PT)を指標にできる限り使用節減の方向で術後管理を行った.その結果,後期ではFFPの1人あたり使用総量で前期より約40%節減でき,FFP非使用例は前期2例より後期14例に増加した.後期にPT延長例が増加したが出血傾向の発生に差はなく,肝不全などの致命的合併症は前期3例(10%),後期2例(5%)にみられ,いずれも術後1週間以内にPTが15秒を越えた症例であった.以上の成績から,凝固因子補充を目的としてFFPを輸注する場合,術後1週間以内にPTが15秒以上に延長した時使用を考慮すればよいと考える.
索引用語
肝切除術後管理, 肝硬変併存肝癌, 新鮮凍結血漿, プロトロンビン時間(Quick 1段法)
日消外会誌 21: 1979-1984, 1988
別刷請求先
武田 成彰 〒807 北九州市八幡西区医生ケ丘1-1 産業医科大学第1外科
受理年月日
1988年2月10日
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