原著
胃切除後胆石症ならびに胆嚢収縮能の臨床的検討
青木 秀樹, 初瀬 一夫, 安富 元彦, 横山 茂, 柿原 稔, 玉態 正悦
防衛医科大学校第1外科
胃切除後胆石症の成因を考察する目的で,胃切除後胆石症22例を臨床的に検討し,さらに胃癌患者の術前,術後胆嚢収縮能を経時的に超音波画像下に検討した.原疾患,術式に一定の傾向はみられなかった.結石としてはビリルビン石が41%と通常の胆石よりも多く,胆汁内細菌陽性率も78.6%と高率であった.胃切除後の胆嚢収縮能の検討では,術後1カ月で有意に胆嚢収縮能の低下(39.3%)がみられ,中には6カ月以内にデプリスや結石の存在する症例もみられたが,術後2~3年で術前の胆嚢収縮能(52.8%)に回復した.
以上より胃切除後胆石症の成因としては胆嚢収縮能の低下による胆汁鬱滞と胆道感染が重要な因子であることが示唆された.
索引用語
胃切除後胆石症, 胆嚢収縮能, 胆道感染
日消外会誌 21: 1985-1988, 1988
別刷請求先
青木 秀樹 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1988年3月9日
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