原著
DNA ploldy patternからみた早期胃癌の予後
米村 豊, 杉山 和夫, 鎌田 徹, 浦出 雅昭, 藤村 隆, 長谷川 啓, 伏田 幸夫, 小坂 健夫, 山口 明夫, 三輪 晃一, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
早期胃癌100例の細胞核DNA量を解析し,予後との関係について検討した.DNA ploidy patternはdiploid 40例aneuploid 60例であった.diploidではsm浸潤率52%,リンパ節転移率18%,リンパ管侵襲陽性率30%,静脈侵襲陽性率5%とaneuploidの各々,70%,46%,50%,22%にくらべ,有意に低率であった.DNA ploidy patternと予後に関してはdiploidでは,切除後再発はみられなかった.一方,aneuploidで深達度sm,肉眼型が隆起又は混合型では再発が高率にみとめられた.また,aneuploidでもstem lineが多峰性にみられる型の予後は最も不良で23例中7例(30%)に再発がみられた.リンパ節転移はdiploidでも18%(7/40)にみられDNA ploidy patternのみから縮少手術の決定を行なうことはできないと考えられた.一方,aneuploidでsm浸潤の可能性があれば十分なリンパ節郭法と術後の化学療法が必要であると考えられた.
索引用語
早期胃癌, DNA ploidy pattem, 早期胃癌再発
日消外会誌 21: 2075-2079, 1988
別刷請求先
米村 豊 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1988年4月13日
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