原著
剖検からみた胃癌の切除後再発形式と手術法の検討
小澤 正則, 杉山 譲*, 羽田 隆吉*, 三上 泰徳*, 落合 浩平, 町田 純一郎, 藤田 正弘, 盛岡 元一郎, 山崎 総一郎, 大槻 弘
市立函館病院外科, *弘前大学第2外科
胃癌治療成績の向上を目的にR2リンパ節郭清を含む胃癌切除後の再発剖検52例を検討した.再発臓器は94.2%が複数に及び,臓器別の転移率はリンパ節90.4%,腹膜80.8%,肝臓53.8%,残胃19.2%で, この比率はStage別および手術の治癒程度別にみても差がなかった.組織型からは肝転移が分化型腺癌に,また腹膜転移は末分化型で多かった.リンパ節転移では腹腔外遠隔リンパ節のみが23.1%あり,肝転移率は死亡までの期間に有意の増加をみなかった.腹膜転移は肝下部型が51.9%で残胃病巣はこれと連続していた. したがって広範なリンパ節郭清と胃切除はいかなる症例に対しても有意義であり,術中術後の補助療法には組織型への配慮が必要と判断された.
索引用語
胃癌剖検所見, 胃癌再発形式, 胃癌手術法, 胃癌転移率
日消外会誌 21: 2248-2253, 1988
別刷請求先
小澤 正則 〒040 函館市弥生町2-33 市立函館病院外科
受理年月日
1988年5月11日
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