原著
膵癌のDNA量分析―特に腫瘍径および組織学的所見との関連について
片桐 一
東京医科歯科大学第1外科(主任:遠藤光夫教授)
膵癌の核DNA量と腫瘍径および組織学的所見との関連を検討した.対象は膵癌31例の切除原発巣のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックで,これより細胞を単離し,DAPI(4',6-diamidino-2-phenylindole)液にて染色した後,遠沈塗抹標本を作製した.これを落射型蛍光顕微鏡を用いて測光し,DNAヒストグラムを作製した結果,以下の成績を得た.1)T1の核DNA量はT2~4とほぼ同等であった.2)組織学的分化度による核DNA量の差は認められなかった.3)n,ne,ly,v,s,rpの各(-)群は各(+)群と同等の核DNA量を有していた.4)INFβ群はINFγ群に比べて高い核DNA量を有する傾向が認められた.
索引用語
膵癌, 核DNA量, 落射型顕微蛍光測光法, DAPI (4',6-diamidino-2-phenylindole)染色
日消外会誌 21: 2262-2270, 1988
別刷請求先
片桐 一 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学医学部第1外科
受理年月日
1988年6月8日
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