原著
腹腔神経節切離後の腸管吸収機能に関する実験的研究
高野 直樹
金沢大学医学部第2外科学教室(主任:宮崎逸夫教授)
神経切除が腸管の吸収能に及ぼす影響を,腹腔神経節を切離したイヌ(切離群)と対照(非切離群)において検討した.バリュウムの腸管内通過時間は腹腔神経の切離後有意に短縮を示したが,5週目には回復した.切離群のD-xylose試験のD-xylose尿中排泄値は, 5週目以降も非切離群より有意に低値を示した.腸管運動の影響を除外したThiry-Vella loopの吸収試験の成績は,切離群では非切離群より有意に低値を示した.また,術後4週の切離群の小腸絨毛のNa+-K+-ATPase活性は,非切離群よりも有意に低値を示したことから,腹腔神経節切離後には,腸管運動亢進以外に,吸収上皮の機能障害による腸管の吸収能の低下が出現することが確認された.
索引用語
腹腔神経節切離, Thiry-Vella loop, 腸管吸収機能, Na+-K+-ATPase活性
日消外会誌 21: 2271-2277, 1988
別刷請求先
高野 直樹 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1988年5月11日
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