腫瘍マーカーおよび術前・術中超音波検査の大腸癌肝転移診断能に関する臨床的検討

初瀬　一夫, 小野　聡, 胡居　郁朗, 長谷　和生, 横山　茂, 柿原　稔, 望月　英隆, 玉熊　正悦

防衛医科大学校第1外科

　腫瘍マーカー（CEA，CA19-9，TPA，5'-NPD-V）および術前，術中超音波検査の肝転移診断能を知る目的で大腸癌症例288例を対象とし検討した．肝転移症例の平均血清CEA値（16.1 ng/ml）は非肝転移症例（5.3 ng/ml）比べ有意に高く（p＜0.001），肝転移診断能に関してはCEA cut off値として10 ng/mlが有意に優れていた．4種類の腫瘍マーカーのうち2個以上が陽性の場合有意に肝転移陽性率が高かった（p＜0.001），術中超音波検査は視診触診で検出される肝表面以外の深部の転移巣発見に関し有用であり，視診触診で肝転移巣がみられた場合，術中超音波検査を必ず施行し深部転移巣の有無を確認することが重要と思われた．

索引用語
大腸癌肝転移, 大腸癌肝転移の腫瘍マーカー, 術前, 術中超音波検査

別刷請求先
初瀬　一夫　〒359　所沢市並木3-2　防衛医科大学校第1外科

受理年月日
1988年6月8日

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