原著
胃原発悪性リンパ腫の外科治療についての検討
島田 悦司, 加藤 道男, 船坂 真里, 吉川 恵造, 中村 毅, 斎藤 洋一
神戸大学第1外科
最近11年4カ月間に経験した胃原発悪性リンパ腫10例を対象とし,その臨床病理学的特徴や,術後遠隔成績と外科治療上の問題点につき検討した.10例すべてnon-Hodgkinリンパ腫で9例がdiffuse typeであった.多発は1例であった.腫瘍径の大きい,リンパ節転移や深達度の高度な病期進行例が多かったが,全例の5年生存率は51.4%であり,進行例でも治癒切除例の遠隔成績は良好であった.したがって治癒切除を得る上でR2以上の積極的なリンパ節郭清とともに,浸潤範囲の判定が困難なことから切除範囲の決定に当たっては腫瘍を取り残すことのない術式の選択が重要で,原則的には胃全摘が望ましいと考えられた.
索引用語
胃悪性リンパ腫, 胃悪性リンパ腫の治療, 消化管悪性リンパ腫
日消外会誌 21: 2355-2361, 1988
別刷請求先
島田 悦司 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1988年6月8日
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