原著
多発胃癌の臨床病理学的検討
小坂 健夫, 三輪 晃一, 米村 豊, 伊井 徹, 北川 裕久, 竹田 利称, 津川 浩一郎, 松本 尚, 浦出 雅昭, 杉山 和夫, 藤村 隆, 長谷川 啓, 前田 基一, 大山 繁和, 藪下 和久, 渡辺 俊雄, 橋本 哲夫, 山口 明夫, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
胃癌852例中多発胃癌は49例(5.8%)に認められた.多発胃癌は単発胃癌と比較すると高齢者,男性に高率である特徴があった.個数は2個が86%とほとんどを占めた.癌巣の位置的関係は,副癌巣が主癌巣より噴門側のものは27%,平行のものは39%,幽門側のものは35%であった.組織学的には分化型が多く,分化型+分化型が60%を占め,壁深達度は浅いものが多く,早期癌+早期癌が53%を占めた.胃全割で組織学的に精査した68例では多発胃癌の頻度は5.9%から13.2%に上昇した.副癌巣のほとんどはF-lineより肛門側に存在しており幽門側胃切除術で残胃に癌を取り残さないためには,F-lineを含めて切除することが肝要である.
索引用語
多発胃癌, 早期胃癌, 残胃癌, 幽門側胃切除術
日消外会誌 21: 2362-2365, 1988
別刷請求先
小坂 健夫 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1988年6月8日
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