原著
腹膜播種性転移および漿膜浸潤陽性進行胃癌症例に対する手術と低体温下腹腔内温熱療法の併用
藤本 茂, セレスタ RD, 国分 和司, 太田 正保, 小林 国力, 木内 宗三郎, 小池 正造, 奥井 勝二, 高橋 誠1)
千葉大学医学部第1外科, 松戸市立病院外科1)
腹膜播種性転移および漿膜浸潤陽性進行胃癌10例に対して,胃切除の直後に31℃前後の低体温下において腹腔内温熱灌流を施行した.P因子陽性6/10例であり,P因子の平均1.7である.温熱灌流は閉腹により閉鎖回路で行い,MMC 10 µg/mlを添加した3,000~5,000 mlの灌流液の流入温47.4±0.5℃,流出温45.3±0.5℃であり,灌流時間は114±12分である.Swan Canz catheterを介しての肺動脈内温度は灌流終了時39.4±1.6℃にまで上昇した.癌性腹水を有する6例は全例術後に腹水を認めず,交通事故死の1例を除外した5/9は14.0±4.7月の現在生存中であり,4例は8.8±0.8月後に死亡した.副作用として術直後GOT,GPTの急上昇を認めた
索引用語
腹腔内温熱療法, 胃癌, 癌性腹水, 腹膜播種性転移
日消外会誌 21: 2366-2370, 1988
別刷請求先
藤本 茂 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1988年6月8日
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