原著
病態生理よりみた吻合部潰瘍に対する手術術式の選択に関する検討
佐藤 浩一, 渡部 洋三, 津村 秀憲, 近藤 慶一郎, 榊原 宣
順天堂大学第1外科
吻合部潰瘍27例をfunctioning parietal cell mass(FPCM)残存16例,胃切除断端幽門粘膜残存4例,空置幽門粘膜5例,不完全迷切2例に分けて検討した.基礎酸分泌量は空置幽門粘膜,不完全迷切で2.8,3.6 mEq/hr,最高酸分泌量はFPCM残存,空置幽門粘膜,不完全迷切で13.7,12.1,16.2 mEq/hrと高値を示した.またbasal gastrinは空置幽門粘膜で161.4 pg/ml,insulin刺激時の血清gastrin反応は空置幽門粘膜,不完全迷切で0.80,0.63 ng・min/mlと高値を示した.成因および胃内外分泌成績よりFPCM残存には迷切が,幽門粘膜残存には残胃胃切または迷切が,空置幽門粘膜には空置幽門洞切除+迷切が,不完全迷切には再迷切が適切であることがわかった.
索引用語
吻合部潰瘍
日消外会誌 21: 2371-2377, 1988
別刷請求先
佐藤 浩一 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1988年6月8日
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