原著
迷走神経切離に伴う合併症と後遺症に関する集計報告
片井 均, 吉野 肇一, 大谷 吉秀, 壺内 泰二郎, 下山 豊, 菊山 成博, 高橋 孝行, 磯部 陽, 久保田 哲朗, 熊井 浩一郎, 石引 久弥, 阿部 令彦
慶應義塾大学医学部外科学教室
第15回迷切研究会の際の主題:“迷切に伴う合併症と後遺症”に関するアンケート調査の集計報告をもとに,迷走神経切離術の合併症と後遺症を検討した.集計症例数は5,607例でそのうち,緊急手術例は420例(7.5%)であった.術式別ではSV 43.3%,SPV 41.7%,TV 15.0%であった.合併症,後遺症の発生率は19.8%であった.緊急手術例でのその発生率は38.1%で,待期手術例での17.9%に比べ高率であった.各合併症ごとの検討では,縫合不全,肺合併症,肝機能障害などが緊急手術で発生が高率であった.手術直接死亡,下痢はTVにおいて高率であった.早期ダンピング症候群,胃内容停滞,貧血の発生はSPVで低率であったが,嚥下困難の発生はSPVで高率であった.
索引用語
迷走神経切離術, 迷切後合併症, 迷切後後遺症
日消外会誌 21: 2378-2387, 1988
別刷請求先
吉野 肇一 〒160 新宿区信濃町35 慶応義塾大学医学部外科
受理年月日
1988年6月8日
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