原著
肝切除後の残存肝に対する肝動脈塞栓術および制癌剤肝動脈注入療法の安全性に関するラットにおける実験的検討
高橋 修, 宮崎 勝, 志村 賢範, 幸田 滋, 栗原 正利, 宇田川 郁夫, 越川 尚男, 伊藤 博, 神野 弥生, 寺本 修, 中島 透, 海保 隆, 木村 文夫, 松本 潤, 磯野 敏夫, 鈴木 裕之, 奥井 勝二
千葉大学第1外科
肝切除後に施行される肝動脈塞栓術および制癌剤肝動脈注入療法の再生肝に及ぼす影響をラットを用い基礎的に検討した.(1)肝切除後,アミノピリン呼気テストで見た肝のマイクロゾーム機能総量の回復には4週を要した.(2)肝切除後の肝動脈塞栓および注入により血清トランスアミナーゼ値は切除4週目施行群は,2週目施行群に比べ,上昇程度が軽度で回復も速やかであった.またアミノピリン呼気テスト値の回復も4週目施行群が速やかであった.(3)生存率においても4週目施行群に比べ,2週目施行群は有意に低値を示した.以上より,肝切除後の肝動脈塞栓および注入は肝の機能総量の回復する時期に施行すれば安全であると思われた.
索引用語
肝切除, 肝動脈塞栓術, 動注療法, 残存肝再生
日消外会誌 21: 2388-2393, 1988
別刷請求先
宮崎 勝 〒280 千葉市亥鼻1-8-1 千葉大学医学部第1外科
受理年月日
1988年6月8日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|