特集
拡大膵全摘術後の問題点
真辺 忠夫, 平野 鉄也, 野中 敦, 浅野 昇, 山木 健一郎, 田村 耕一郎, 今西 勝大, 馬場 信雄, 戸部 隆吉, 内田 耕太郎*
京都大学医学部第1外科学教室, *同 医療技術短期大学部
膵全摘後には膵内外分泌機能欠落による血糖調節不全,消化吸収障害に加え,脂肪肝,高アミノ酸血症がみとめられた.膵全摘後,安定した血糖管理は消化吸収障害,すなわち下痢が改善されてはじめて可能となり,術後約1年を要した.その結果,就労までに長期間を要し,術後1.5~3年の就労率は60~70%にとどまった.しかもいずれの就労者も転職を余儀なくされた.膵癌,乳頭部癌症例における膵全摘例の予後は膵頭十二指腸切除例と有意差がないことを考えると,膵全摘はごく限られた症例を除いて行うべきではないと考えられた.
索引用語
膵全摘, 膵内外分泌機能不全, 就労率
日消外会誌 21: 2492-2495, 1988
別刷請求先
真辺 忠夫 〒606 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学部第1外科
受理年月日
1988年5月9日
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