原著
胃癌患者における予後推定因子としての末梢血natural killer活性の検討
大谷 吉明
聖マリアンナ医科大学第1外科学教室(主任教授:渡辺 弘)
胃癌患者87名についてその末梢血NK活性を測定し,予後推定因子の1つとなるかどうか検討した.NK活性の測定は末梢血リンパ球をeffector細胞(E),K562細胞を標的細胞(T)とする51Cr release法を用いた.結果:1.胃癌患者のNK活性は26.9±15.2%(E/T=40)であり,健常者に比し有意に低下していた.2.stage I,IIに比べIII,IVで低く,特にP陽性例で著明であった.3.術後1週目で低下したNK活性は1か月で回復し,摘脾例でも同様であった.4.術後NK活性の回復がみられない例,あるいは術後月数と共に活性値が漸減傾向を示す例は予後不良であった.結論:NK活性の経時的測定は予後を推定する重要な因子であると考えられる.
索引用語
胃癌患者のnatural killer活性, 胃癌患者の予後, natural killer活性の経時的変化
日消外会誌 21: 2535-2541, 1988
別刷請求先
大谷 吉明 〒213 川崎市宮前区菅生2-16-1 聖マリアンナ医科大学第1外科
受理年月日
1988年7月13日
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