原著
胃癌切除症例における漿膜面浸潤の検討
佐伯 俊昭, 田中 卓, 西山 正彦, 万代 光一, 吉中 建, 柳川 悦朗, 峠 哲哉, 新本 稔, 服部 孝雄
広島大学原医研外科
胃癌切除例の肉眼的漿膜面浸潤程度と臨床病理学的所見ならびに予後との関係をみるため,当科で切除された1,097症例について検討を加えた.組織型との関係は,S0,S1では高分化型が多くS2,S3では低分化型が多かった.5年生存率は,S0 72.3%,S1 63.1%,S2 29.8%,S3 8.2%であった.腹膜再発との関係は,初回手術時腹膜転移陰性で腹膜再発によるイレウスを発症した37症例について検討するとS2が31例と最も多く,組織型ではporが28例と多かった.S3症例では合併切除の意義が認められた.以上より低分化型でS2以上の症例では,腹膜再発がおこることを念頭におき経過観察する必要があり,再発時の治療には,手術を中心とした集学的治療が有用であると思われた.
索引用語
胃癌切除症例, 胃癌漿膜面浸潤程度, 進行胃癌他臓器合併切除, 腹膜播種性イレウス
日消外会誌 21: 2542-2547, 1988
別刷請求先
佐伯 俊昭 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学原医研外科
受理年月日
1988年8月26日
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